年季の入ったリールのベアリングチューン
:2020/02/15 :タックル考察
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本当に久しぶりのブログ更新になってしまいました。
昨年は一度も釣りに行けず、ひたすら仕事に忙殺されていたので、ブログの更新もほとんどできませんでした。
今年は年明け早々に1年ぶりの釣りに行ってきましたが、久しぶりの鶴見川は工事だらけ。。。
どこのポイントを見に行っても周辺で工事してます。
しょうがなく以前良く通った場所で竿を出しましたが、ポイントの状況からは明らかに絶不調さが伝わってきていました。
結局この日は80ちょっとが1本と貧果に終わりました。
新しい場所を探すしか方法はありませんね。
冬の間の工事は、都市河川の宿命ですから…。
年季の入ったリールもお疲れ?
ちなみに私は都市河川では振出竿を使い、リールも小さめのものを使っています。
ヘチを狙ったり、投げてもせいぜい10mほどの距離なので、これで十分です。
でもダム湖や山上湖などではカープロッドに大型リールを使っています。
これは遠投が必要なケースもあるからですが、その時に使っている大型リールがTICAの「ABYSS」という機種で、3台使っています。
あまり高級機でもないし、欠点も多いリールですが、私は最近のリールにはないある特徴がすごく気に入っていて、もう10年以上使っています。
でもさすがにあちこちにガタが出始めました。
先日もこのリールとカープロッドを持って、近所の川にキャスティング練習に行ったとき、ラインを巻き始めるとラインローラーからキュルキュルと音がし始めました。
そろそろ寿命かと思い、最新のリールを探してみたものの、どのリールも良さげではあるのですが、私の重要視している特徴が備わっていません。
そこで、異音が出ている1台を自分で修理してみることにしました。
音がしているのはラインローラーからなので、おそらくベアリングがヘタっているんだろうと推測。
ラインローラーをバラしてみると、ベアリングが一つだけ入っていました。
指で回した限りでは異音はしませんが、異音の原因はこのベアリングしか考えられません。
とりあえず新しいベアリングを1つだけ、つまり1台のラインローラー分だけ購入してみました。
購入したのはリールのベアリングチューンで有名なヘッジホッグスタジオのベアリングです。
ノギスでベアリングの外径と内径、それに厚さを計り、ベアリング単品の一覧表から同形状・同サイズのものを探しました。
ちなみにベアリングサイズは外径8mm、内径5mm、厚さ2.5mmでした。
価格はベアリング1個で720円、送料は160円です。
一般的に売られているベアリングより高価ですが、どうせなら精度の良いものを購入したいと考えました。
このベアリングに変えても異音が直らないようなら、新しいリールを買うしか手はありません。
ベアリング交換後は巻取りが断然軽い
数日後にベアリングが届き、早速オイルをベアリング内部に注入してから指先で回してみると、ヌルっとした感触で軽く回ります。
この感触は、シマノのリールを巻き始める瞬間と似た感触です。
遊びがなく、全てが完全に組み合わさった状態のものが動く感触といえば伝わるでしょうか。
感触に驚きながらラインローラーにセットし、すぐにキャスティング練習に行ってみました。
遠投後にリールを巻き始めると、感触の違いにもうビックリです。
これまでより巻取りが断然軽いです。
あまりの軽さで、ラインがツルツルスベスベになったように感じてしまいます。
リールを巻きながら一人で笑ってしまいました。
こんなに違うんだって感じです。
もちろん異音なんてしませんし、もっと早くベアリング交換すれば良かったって、ホントに後悔しました。
わずか3投しただけでその感触に満足してしまい、ニヤニヤしながら自宅に戻り、すぐに残り2台分のラインローラー用として、ヘッジホッグスタジオの同じベアリングを注文しました。
初めて使った時より巻取りは軽い
TICA「ABYSS」はボールベアリングが9つ入っているとのことだったので、購入して最初に使った時の感触は今でもよく覚えています。
今までのリールより断然ベアリング数が多いんだから、きっと巻き心地は最高なんだろうって勝手に想像していたのですが、使ってみると全然たいしたことがなくてガッカリしたため、余計はっきりと覚えています。
巻取りはなんだか重いし、内部のギアが噛み合っている感触もあまりスムーズではなかったです。
ですがラインローラーのベアリングを変えたら、巻取りの感触は激変しました。
新品の時よりも軽く、まるで別物です。
リール内部やハンドルノブ部分などには全く手を入れていないので、これらから伝わってくる感触は変わりませんが、ラインローラーの感触は異質の軽さになりました。
多分ですが、元々使われているベアリングの品質が低かったのかもしれません。
シェルが同じステンレスのベアリングでも、内部のボールがステンレスではないものや精度が低いものもあるようです。
ちなみに、後日ヘッジホッグスタジオから送られてきた残り2つのベアリングも、オイル注入後に回してみると最初の1つと同じように、動き始めはヌルっとした感触で、しかも回転が非常に軽いものでした。
ハンドルノブのベアリングチューンとガタつき解消
ベアリング交換の凄さに感激してしまい、今度はハンドルノブにベアリングを使えないか調べてみることにしました。
ハンドルノブは新品の時から少しガタつきもあったので、それも修理したかったんです。
「ABYSS」のハンドルノブをバラしてみると、中にはベアリングが2つ使われていました。
ハンドルノブの回転はスムーズでしたが、どうせなら全部新しいものにしたいし、ガタつき修理のためにシムも入れて調整してみようと考えました。
そこで今度はヘッジホッグスタジオのベアリングではなく、国内ベアリングの有名メーカーであるミネベアのベアリングを3台分、計6個購入しました。
ちなみにハンドルノブのベアリングはラインローラーと全く同じサイズでしたが、ミネベアの価格は1つ220円、送料は170円。
ヘッジホッグスタジオのものと比べてかなり安いですが、どれほど差があるのかも知りたかったというのも選択した理由でした。
ガタつき調整用のシムは多分どこのものを購入しても差はないでしょうから、模型屋で販売されている0.1mm、0.2mm、0.3mmの厚さのものが各10枚づつセットされているステンレス製のものを購入しました。
価格の違いはどこにあるのか
数日後、ミネベアのベアリングが6個届きました。
今度のベアリングはハンドルノブに使うので、グリスを注入します。
注入後、指で回してチェックしてみると、グリスを注入したのでどれもやや重く回る感じになりましたが、それでも回転はスムーズでした。
ただ6個の内の2つは他に比べるとやや回転が重いように感じました。
もちろんどれも引っかかるなどの現象はないのですが、感触が異なります。
回転そのものは非常にスムーズであっても、これほど個体差があるものなんですね。
ヘッジホッグスタジオで購入した3個のベアリングが特にスムーズって感じではありません。
ただどれも感触が非常に高いレベルで揃っている感じがしました。
このあたりが価格差ということなのでしょうか。
想像ではありますが、全部の製品をチェックして感触が合格のものだけを販売するようにしており、その歩留りが価格に反映されているのかもしれません。
ベアリングの感触が多少異なったとしても、10年以上前の、しかも精度の低いベアリングよりはマシでしょう。
全部のベアリングをハンドルノブにセットすることにしました。
シムでガタつきを調整
ベアリングを取り付けると同時に、ハンドルノブのガタつき具合に合わせてシムを入れて調整していきます。
1台は0.1mm厚、もう1台は0.2mm厚、そして最もガタつきが大きかったリールには0.3mm厚がぴったりでした。
ハンドルノブのガタつきは一切無くなり、ノブそのものもスムーズに回ります。
これで快適に釣りが楽しめそうです。
ベアリング交換とシム調整で蘇ったリール
劣化していたり、調子の悪いベアリングを良質なものに交換すると、感触は激変します。
特にラインローラーのベアリングは、ラインの感触まで変わってくるほど大きな影響がありました。
またハンドルノブは手に近いだけあって、巻き心地が伝わりやすい部分でもあります。
にもかかわらず、比較的高級機種でもベアリングが入っていないものもあるようですから、この場合はベアリングを入れるだけでも感触はかなり変わってくるはずです。
さらにハンドルノブのガタつきは、いつの間にか出てくるようですし、新しいリールでもガタつきが大きいものもあるようです。
ガタつきのあるハンドルノブと、一切ガタつかないハンドルノブとでは、使った時の感触が全く違うことは知っておいてください。
もっと性能の良いリールにするには
今回私が手を入れた個所は、ラインローラーとハンドルノブ部分だけですが、もっとベアリングチューニングをすすめようとすると、ドラグ部分にまで手を入れることができる機種もあるようです。
そこまでやるには知識も必要ですし、工具や油脂類も揃えなくてはなりません。
余程愛着があったり、そのリールを使いつづける意味がある以外は、新しいリールを購入する方が良いのかもしれません。
またベアリング交換もできる機種、できない機種があり、できる機種でも全ての個所に手が入れられるわけでもなさそうです。
それにメーカー保証が利かなくなるケースもあるようですので、色々と調べてからトライされる方が良いかもしれません。
それともうひとつ、ベアリングを良いものに交換したり、ベアリングを追加したら上位機種と同じ感触が得られるかというと、そんなことはありません。
リール内部のギアや根本的な構造は変えられませんから、それらの感触は変わりません。
いくらベアリングチューンしても、そのリールに本来備わっている最も良い感触が得られるだけであり、どうやってもそれ以上のものにはなりません。
ただそれでも感触が今より良くなるのは非常に気持ちいいものですが…。
私の経験が参考になればうれしいです。
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