春の好機に向けてタックルを手入れ【鯉釣りスピニング ドラグ編】
:2021/03/10 :タックル考察
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鯉釣りに使用するスピニングリールのメンテナンス、最後はドラグのメンテナンスです。
鯉は大物ほど想定外のファイトをしてくるだけでなく、やり取りの時間も長時間になりがちです。
そんな時、頼りになるのがリールのドラグです。
ドラグが劣化しているスピニングリールを使っていた場合、本来なら取れるはずだった大物をバラしてしまう可能性が高くなってしまいます。
大物をゲットしたいのなら、必ずメンテナンスする必要があるのがドラグだということです。
スピニングリールのドラグメンテナンスについて、私のリールを使って具体的に説明させていただきます。
ドラグメンテンナンスの内容
スピニングリールのドラグメンテナンスメニューは、以下のような項目となります。
A.ドラグ専用グリスの塗付
鯉釣りに使われるスピニングリールのドラグには、ほとんどの場合、フェルト製のワッシャーが3枚使用されているはずです。
そしてこのフェルトワッシャーにはドラグ専用のグリスが塗布されています。
ドラグはフェルトワッシャーの滑り具合で効きを調整しているのですが、フェルトワッシャーにドラグ用グリスが塗られていないと、フェルトワッシャーがすぐに摩耗してしまうだけでなく、ドラグの滑り出しもスムーズではなくなってしまいます。
すなわちフェルトワッシャーとドラググリスは、セットで能力を発揮しているわけです。
しかしドラググリスはグリスというだけあって、時間経過とともに乾燥していきます。
グリスがなくなってしまったフェルトワッシャーでは、ドラグの効きが悪くなるだけでなく、フェルトワッシャーそのものがボロボロになってしまいます。
こうなってしまう前に、定期的にドラググリスを塗布してやらなくてはいけないのです。
なお注意しておくべきなのは、スピニングリールのドラググリスは、ドラグ専用のものが用意されているのがほとんどということです。
B.劣化したフェルトワッシャーの交換について
フェルトワッシャーは使っているうちにドラグノブによってプレスされていきます。
フェルト生地はどなたも一度は見たことがあるはずですが、厚みがあります。
ドラグを締めた状態とは、すわなちフェルトを圧縮した状態になるため、どうしても厚みが薄くなってきます。
こうなるとドラグの効きは悪くなっていくのですが、これは避けようがありません。
スピニングリールのドラグは仕掛け投入の際などにどうしても締めなければならず、ドラグを締めないでキャストするとラインがバックラッシュ状態になってしまいます。
つまりフェルトワッシャーはリールを使う以上、必ず消耗していくものなのです。
ドラグにはこのフェルトを使った作られたワッシャーがほとんどの場合、3枚使われていますので、全て交換することで購入時のドラグフィーリングに戻すことができます。
なおスピニングルールのドラグが劣化していることを自分の目で確かめる方などは以前の記事「春の好機に向けてタックルを手入れ【鯉釣り用スピニングリール編】」内で説明していますので、参考になさってください。
シマノとダイワのメンテナンスの違い
スピニングリールのドラグメンテナンスは、ドラググリスの補給とフェルトワッシャーの交換が重要なのですが、リールメーカーによってこれらをメンテナンスする具体的方法は変わってきます。
シマノとダイワで具体的にどう違うのかをご説明しましょう。
シマノのドラグメンテナンス方法について
シマノのスピニングリールで鯉釣りに使われるものの種類としては、ノーマルドラグ、SD(スピードドラグ)、ツインドラグがあります。
シマノの場合、どんなドラグシステムのリールであっても、ドラグオイルは「シマノ サービス用グリス ACE-0」を使ってメンテナンスすることができます。
つまりドラググリスの補給は、このドラググリス1つさえあれば十分だということです。
フェルトワッシャーの交換については、「シマノカスタマーセンター」で自分が使っている機種用のフェルトワッシャーの部品番号をチェックし、最寄りの釣具店に依頼して仕入れてもらったうえで、交換するという手順になります。
ダイワのドラグメンテナンス方法について
ダイワのスピニングリールの場合、ドラグシステムはノーマルドラグ、QD(クイックドラグ)、UTD(アルティメット・トーナメントドラグ)、ATD(オートマチック・ドラグシステム)があります。
実はダイワの場合、このドラグシステム毎にドラググリスが異なっており、適合しないドラググリスを使うと故障の原因になるようです。
またドラグシステムによっては対応するドラググリスが販売されていないものもあるので、システム別にメンテナンス方法が変わってくることになります。
ドラグシステム毎のメンテナンスについて説明しましょう。
ノーマルドラグの場合
ダイワのノーマルドラグの場合は、ドラググリスは「ダイワ純正トーナメントグリス3」を使います。
フェルトワッシャーは「ダイワスポーツライフプラネッツ」から、自分が使用している機種の展開図を呼び出し、フェルトワッシャーの部品コードを調べて、最寄りの釣具店で取り寄せを依頼します。
QD(クイックドラグ)の場合
鯉釣りに使われているスピニングリールの中でも比較的使用率が高いのがQDですが、QDのドラグメンテナンスは少々厄介です。
それは、QD用のドラググリスは販売されておらず、どのドラググリスとも適合していないという点です。
フェルトドラグそのものは「ダイワスポーツライフプラネッツ」で販売されており、釣具店に依頼すれば取り寄せることができますが、ドラググリスが無いとドラグは上手く機能しません。
結局、QDシステムを採用したスピニングリールのドラグメンテナンスは、最寄りの釣具店を通じてメーカーにメンテナンスを依頼するしかないということになります。
UTD(アルティメット・トーナメントドラグ)の場合
ダイワのドラグシステムの中で、ドラグが効き始める時に食い付くことがないドラグとして開発されたのがUTDです。
ダイワの現行モデルでは以下のモデルに採用されています。
- プロカーゴ遠投
- カープイズム
UTDに対応するドラググリスは「アルティメット トーナメントドラググリス」が販売されています。
ATD(オートマチック・ドラグシステム)の場合
ダイワのリールで近年多く採用されているのがATDで、ドラグの滑り出しとファイト中の引きの強さに応じたブレーキ性能を売りにしているドラグシステムです。
現行モデルでいえば、以下のモデルに採用されています。
- トーナメントISO 遠投
- プロカーゴSS遠投
- キャスティズム25
ATDの場合は、適合するドラググリス単品は販売されていませんが、適合したドラググリスが塗布されたフェルトワッシャーが販売されています。
つまりドラググリスだけを補充するということはできませんが、フェルトワッシャーと一緒に交換することができるわけです。
ATDのドラググリスが塗布されたフェルトワッシャーの購入は、最寄りの釣具店で機種名と番手を伝えて取り寄せてもらうことになります。
スピニングリールのドラグメンテナンス手順
スピニングリールのドラグメンテナンス手順について説明しましょう。
1.スプールのドラグを分解
スピニングリールのドラグはスプールに入っているので、最初にやることは、スプールを分解することです。
TICA ABYSSの場合、ドラグノブを緩めて外してしまうと、以下の画像のようになっています。
この画像の中に見えるのがドラグリングと呼ばれるパーツです。
このドラグリングは外側に広がろうとする力でスプールの溝部分に固定されているだけですから、一ヵ所をピンセットなどでつまみ、内側にズラせば簡単に外すことができます。
なお注意しなければいけないのは、ドラグリングはスプリングのように反発力があるので、外す際にはしっかり保持していないと飛んでいってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
ドラグリングを外してしまえば、後はピンセットで簡単に外すことができます。
2.ドラグの構造確認とフェルトワッシャーの交換
TICA ABYSSのドラグ構造はこのようになっています。
画像の左側がスプールの一番下に入っているフェルトワッシャーで、右に行くほどドラグノブに近い順に並べています。
各フェルトワッシャーの間に金属製の座金が入っていることが分かります。
この順番を間違えずに、フェルトワッシャーを交換すれば良いわけです。
3.ドラググリスの塗付
ダイワのATD以外のフェルトワッシャーにはドラググリスが塗布されていませんので、ドラググリスをフェルトワッシャーの両面に塗布してやります。
塗付する量は、米粒ほどの大きさを3粒程落とし、均等に塗り広げてやればOKです。
塗り広げるのは、ヘラのようなものを使えば便利でしょう。
仮にドラググリスを塗りすぎたとしても、ドラグを締めるとはみ出てきますので、拭き取ってやれば問題ありません。
4ドラグの組み立て
ドラグワッシャーが入っていた通りにドラグを組み立てていきます。
全てを組み立ててから、ドラグリングを元通りピンセットで組付ければ完了です。
まとめ
鯉釣りに使うスピニングリールのメンテナンスについて、4回に分けて説明させていただきました。
ロッドもリールもちゃんとメンテナンスさえしてやれば、長く使うことができ、愛着も高まっていきます。
もちろん信頼性も高まるはずです。
そんなタックルでこの春、是非大物をゲットしてください。
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